2020年度より、小学校では中学年で外国語活動が必須化・高学年で外国語が教科化されました。ここでは、以前に通常の学級で行った特別支援の視点での外国語活動の実践報告をさせていただきます。


絵本「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See? 」を使った実践報告
 大阪府和泉市立和気小学校 川﨑 育臣

 私の勤務する学校では、特別支援学級に在籍する子どもたちも通常の学級で英語科や外国語活動に参加している。授業や活動に参加する全員の子どもが楽しく・わかる・できる活動をめざしている。

 絵本「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」を使った外国語活動の実践では、はじめのあいさつの後で「めあて(動物の名前と色を英語で言ってみよう。)」と、本時の活動の流れを確認できるようにした。

①はじめのあいさつ
②絵カード(動物・色)
③色の歌(Rainbow)
④絵本(Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?)
⑤動物カード取リゲーム
⑥おわりのあいさつ

 毎回の活動を同じパターンで進めていくことで、子どもたちも見通しを持つことができ、不安を軽減し、集中して活動に取り組むことができる。学年が上がっても活動の流れがいつも同じであれば、見通しがつき、安心できる。

 英語科や外国語活動は、通常の学級の担任をはじめ、特別支援学級の担任、ALT(Assistant Language Teacher)、JTE(Japanese Teacher of English)、介助員、支援員やゲストティチャーなどさまざまな立場の人たちが関わっている。事前の打ち合わせは、時間的な制約がある中、できるかぎりしっかり行い、役割分担を明確にしておくことが大切である。

 活動プランは、日本語と英語で作成し、活動に関わる全ての人たちと共通理解をはかることができるようにしていた。活動プランは、活動の流れがわかる程度の簡単なもので、作成者にとって負担の少ないものを作成した。

 教材・教具については、絵カード、写真カード、ぬいぐるみ、絵本などの視覚教材を積極的に使用することで、全ての子どもたちが活動に参加しやすくなる。

 絵本「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」に出てくる動物の絵を使って、動物のアルファベットの文字を入れた絵カードを作成した。同じ動物の絵でも、絵が違うと違う動物と認識してしまう子どももいるからである。アルファベットは、日頃から自然に目にするよう工夫することで、文字指導をする際にその導入がスムーズに行うことができる。

 歌を歌う活動は、発声の練習にもなり、英語の発音やリズムを学習することもできる。毎回の活動で、同じ歌を繰り返し歌うことで上達し英語を声に出すことへの自信を高めていくことができる。色の歌“Rainbow”を歌う活動では、自分の好きな色の時に、歌いながら立ったり座ったりする活動を行うことで、身体を使って外国語に慣れ親しむこともできる。また、自分と同じ色が好きな友だちがいることにも気づくことができる。

 絵本の読み聞かせは、落ち着いて話を聴く時間になる。歌を歌う活動の後に絵本の読み聞かせを行うことで、気持ちを落ち着かせることができる。絵本は、英語を聞きながら目で絵を見ることができるので、話の内容を想像しながら楽しく理解することができる。 「Brown Bear Brown Bear What Do You See?」は、 日本語訳 「くまさん くまさん なに みてるの?」の絵本もあるので、活動後に教師が日本語で読み聞かせをすることや自分で読むこともできる。

 これまでの外国語活動では、ALTによるゲーム中心の活動が多く、特別支援学級在籍の子どもや支援を必要とする子どもたちにとってゲームの時間は、学習の妨げになる音が多く、勝ち負けにこだわると苦痛な時間となり、落ち着けない場面が多くみられた。

 ゲームは、勝ち負けにこだわらないような内容を工夫することが大切である。はじめは、全員分のカードを用意して、自分のペースで参加できるようにする。そして、ペアでの活動やグループでの活動へと活動単位を少しずつステップアップできるような手順をふんでいく。

 ペア学習やグループ学習は、学びあいやわかる喜びを共感でき、達成できたことを友だちに認めてもらう機会にもなり、学習できたことを生かすチャンスとなる。

 動物カード取りゲームでは、1枚取ったら1回お休みというルールにしている。お手つきも1回休み、同時にカードに触れたら英語でじゃんけん(rock, scissors, paper)をして勝った人がもらうようにしている。最後の1枚は、そのグループで一番枚数の少なかった子どもがもらえるようにすることで全員が1枚以上カードを手にすることができる。

 友だちの手が自分の体に触れることが苦手な子どももいるので、うちわを使ってゲームを行うこともできる。カードも広げて並べ、うちわの中にカードが重ならないようにしている。大きいうちわは、黒板に絵カードを貼ってゲームの説明をする時に使用し、小さいうちわは、カード取りゲームで使用している。車椅子や補助椅子を使っている子どものいるクラスでは、はえたたきを使うようにしている。はえたたきは振り回すと危ないので、ゲームをする時に興奮してしまう子どもの近くで言葉かけをしながら行うことが大切である。

 このように、ゲームではルールをしっかりと説明し、勝ち負けではなく、めあての動物の名前と色を英語で言えるようになってほしいと伝えておくことが大切である。

 おわりのあいさつの前には残り時間をみながら、活動の振り返りを口頭で発表したり、振り返りカードに感想を記入したりしていた。記入したカードには、担当者からのコメントやサインを書き、シールやハンコを押すなどして次回の活動で返却することで、次回の活動も楽しみに参加してもらえるようにしていた。

 終了時刻のチャイムが鳴ってからも活動を続けていると落ち着かなくなる子どももいるので終了時刻までに活動を終わらせることが大切である。おわりのあいさつをし、活動の終了をはっきりさせることができるようにしている。

 昨年度は、特別支援学級の自立活動の時間に1年生から6年生までの約40名がALTと私のティームティチングで年間8回の外国語活動を行うことができた。今年度は、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、外国語活動を行うことができていない。そこで、東洋館出版社の「英語コグトレ」を自立活動の時間に使用している。「小学校5・6年生」「小学校3・4年生」用の2種類あり、コピーして使えるワークシートやリスニングCDもついているので、英語に苦手意識を持っている先生にもCDを活用することで行うことができる。「英語コグトレ」は「英語学習+認知トレーニング」をすることができるのでぜひ、おすすめしたい。

 この実践報告は、「英語授業における特別支援に関する調査」の実践報告に加筆修正をしたものである。

【参考文献・資料出典】

加賀田哲也・村上加代子・伊藤美幸・川﨑育臣・森田琢也・チェン敦子(2015).『英語授業における特別支援に関する調査』小学校英語教育学会誌.

伊藤嘉一・小林省三(2011).『特別支援外国語活動のすすめ方』図書文化.

吉田晴世・加賀田哲也・泉惠美子(2015).『英語科・外国語活動の理論と実践』あいり出版.

Bill Martin Jr・Eric Carle(1984).『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』.PUFFIN BOOKS

ビル=マーチン・エリック=カール(1984) 『くまさん くまさん なにみてるの? 』偕成社.

Bill Martin Jr・Eric Carle(2006).『英語でもよめる Brown Bear, Brown Bear, What Do You See? くまさん くまさん なにみてるの? 』偕成社.

宮口幸治・正頭英和(2020).『1日5分!教室でできる英語コグトレ小学校3・4年生』.東洋館出版社.

宮口幸治・正頭英和(2020).『1日5分!教室でできる英語コグトレ小学校5・6年生』.東洋館出版社.