品川裕香(2020)

『怠けてなんかない!サードシーズン 読む・書く・記憶するのが苦手な子どもたちが英語を学ぶとき』岩崎書店.

本書は、著者の『怠けてなんかない!』シリーズの第3作目にあたります。

 『怠けてなんかない!』は、読んだり書いたりすることが苦手な子ども達にスポットをあてています。読み書きが苦手な子どもの声、保護者の声だけでなく、なぜ苦手なのかの仕組みについても解説があります。本書の第1章では、もともと日本語でも読み書きが苦手であれば、さらに学習が困難になることが予想される「英語学習」で、どのような躓きがあるのかの具体例の紹介があります。第2章は具体的な指導について、そして第3章はディスレクシアとは何かから始まる理論編です。いずれも日本の英語ディスレクシアに関した、最新の情報が詰まった一冊だと言えるでしょう。

 英語の先生には、本書だけでなくシリーズを通して読むことで、国語と英語でのつまずきの関連や、認知の発達についても情報が得られます。

 

 

大谷みどり編・著(2020)

『通常の学級の特別支援教育 特別支援教育の視点でどの子も学びやすい小学校英語の授業づくり ユニバーサルデザインの英語授業にチャレンジ』 明治図書出版.

 本書を読んだ印象は、「すごくがんばる特別支援教育」ではなく、「普段からできる指導の工夫」を重視しているという点です。第1部では、小学校外国語活動・外国語科についての基礎的な知識の説明、続く第2部では英語習得とつまずきのメカニズムについての理論が述べられています。

 この第2部の内容は、日本語と英語のつまずきとの関連、個人差とは、そして英単語が覚えられない理由など、これから英語教育に関わる先生には「知っておいてほしい」情報ではないでしょうか。第3部は英語の授業づくりの具体例が多く紹介されており、「聞く」「話す」「読む」「書く」が弱い子どもへの支援についても述べられています。子どもへの理解を深め、指導の柔軟性や引き出しを広げることもできる、貴重な1冊です。

 

村上加代子: AUDELL会長, 甲南女子大学