英語教育ユニバーサルデザイン学会会員の皆様へ、
新年度が始まりました。
新しい職場や学校で、場所も気持ちも新たにスタートしました。
新年度には、子どもたちは大きな変化を体験することになります。クラスメートが変わる、教室の場所が変わる、学校も変わってしまう。新しい出会いのチャンスにわくわくする子どももいれば、これまで自分が居心地の良かった場所から離れることを不安に思う子どももいるでしょう。ひとり一人がその子らしくいられるコミュニティや場所が見つかるよう、見守っていきたいものです。
さて、英語教育だけではありませんが、昨年は対話なども可能なAIの能力が広く知られることとなりました。飛躍的に進歩しているAIは、おそらく今教室に座っている子どもたちが大人になる頃には、当然のように日常生活で様々な役割を果たしているでしょう。
英語に関しても、すでに日本語を自然な英語に変換してくれるサービスや文法ミスを訂正してくれるサービスが無料で提供されています。グローバル化する社会において、「英語はコミュニケーションのツールである」とすれば、こうしたツールをいかに使いこなすかは、正しいスペルを暗記するよりもある意味実用的でしょう。
教科教育では、こうしたツールが使える環境にあることを前提にして、これからどのような知識やスキルを子どもたちに身につけさせることが必要か、その取捨選択が迫られるでしょう。知識を試すような受験問題には意味がなくなる時代がすぐそこに来ています。社会で必要とされるスキルそのものが大きく変わるのです。
AIと共存する未来予測では、教育に関係しては、「先生が不要になる」というような記事も見ました。おそらく「学校」も「先生」は、これからも存在するでしょう。ですが、知識を与える役割としてではなく、「先に生まれた人」として、子どもたちの育ちを見守る存在になれれば、その価値は唯一無二です。
子どもにとって、ある先生との出会いが、人生に大きな影響を与えることがあります。
それは学校という現場で日々起きている奇跡のひとつでしょう。
「人は、人に生かされる」
これは、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」に登場する台詞です。
AIが台頭する時代こそ、感謝や共感、人と人とのつながりや、その人の個性の価値を大切にすることが求められるのではないかと感じています。
今年度も、お互いに学び合い、共に成長していけるよう、一緒に取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
2023年4月
村上加代子